points-of-view’s blog

創作イラストを。世間とずれてるブログです。

26. 鞆の津茶会記


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これは世間とずれている私のブログです。

 

 ずっと気になっていた重松静馬さんの「重松日記」をやっと買ったので読んでいるところです。その関連として今回は私の大好きな作家・井伏鱒二さんについて書こうと思います。

まずはじめに、私は太宰治繋がりで井伏鱒二作品を読んだわけではないことを明記しておきたいと思います。
もちろん太宰治作品をいくつか読んだことはありますが、私にとってはたくさんいる作家の中の一人に過ぎません。ついでに書かせてもらいますが、太宰好きの芥川賞受賞芸人が鱒二さんの屁の話をネタに使うのは好きじゃないですね。

 

 私は20代後半頃に名作小説を読んでみようと思い立ち、以前から気になっていた「黒い雨」を読むことにしました。
私は古い本が好きです。言葉遣いが楽しいし美しく感じるからです。
普段から国語便覧を読むのを趣味としているので古い作家の顔と代表作は割と頭に入っています。夫婦で作家について話すときも、便覧の中の写真で会話になることがあります。
「あー、あの四角い眼鏡で口髭のおじさんでしょ」
「そう、その人」
というような感じです。

 

 黒い雨を読んでからすっかり井伏鱒二作品にはまり簡単に手に入るものは色々読んでいるわけですが、読もうとしても読めない作品がいくつかあります。

とくに読めないのがこの作品。

●鞆の津茶会記(とものつちゃかいき)

序文に書いてあることを引用・抜粋してここに書きます。

私は茶の湯の会のことは、現在の茶会のことも昔の茶会のことも全然知識が無い。茶会の作法や規則なども全く知らないが、自分の独り合点で鞆の津の城内や安国寺の茶席で茶の湯の会が催される話を仮想した。その茶会に出席する人物は多く架空の存在であると想定し、史上で見た安国寺恵瓊や坊主の他は、すべて架空の人物といふことにした。その人たちの活躍した年月は、大体に於て天正十五、六年頃から少し後のことであつたと仮定して、その当時の茶会での雑談といふことにした。  著者記

福武文庫 「鞆の津茶会記」より引用


とりあえず序文を読むと「そういうことか」と本編も読もうと思うわけですが、
さっぱり読み進められない。
この作品は箇条書きが多く、茶器や絵皿の事などが書かれているのですが詳しくないとそれがどんな茶器なのか説明が殆どないので全然わかりません。
私はゲームの信長の野望シリーズくらいでしか茶器の事を考えたことがないですし。
そして、鱒二さんの趣味である献立表が書かれています。鱒二さんは旅先の旅館で献立表をもらうことを趣味としていました。
献立が書いてある小説は他にもあるので鱒二さんらしさとして私は気に入っています。

献立表の後にはメインのお話が書かれているわけですが、何やら不思議な書き方をしていてとにかく読みづらい。どうしても途中で飽きて止めてしまいます。そのため詳しい内容の説明も残念ながらできないわけです。
しかし、この本の裏表紙にはたしかに名作と書かれています。私以外の人は名作として理解しているのかなぁ。周りに読んだ人がいないので何とも言えません。ともあれ、私がもう少し年を重ねれば理解できるのではないかと思って時々手に取るようにはしています。
今回も無理でしたが…。


次回も井伏鱒二さんについて書こうと思います。今回はこの辺で失礼します。ありがとうございました。

以前のブログの補足:「朽助のいる谷間」の朽助の読み仮名は"くちすけ"でいいのかという疑問を書きましたが、井伏鱒二対談集の永井龍男さんとの対談の中で"くちすけ"と明記してありました。一応お知らせまで。